「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と「狭山茶摘み歌」にも歌われる、狭山茶の特徴である深い味わいは、寒い冬を乗り越えることでいっそう深まり、また「狭山火入」という独特の仕上げ技術により、甘くて濃厚なお茶になります。
「火入れ」とは、お茶の仕上げ段階で熱を加えることにより、乾燥を十分に行って貯蔵性を高めるとともに、加熱香気を生成させて味や香りを向上させる工程です。
埼玉県の茶の主産地は、県西部の入間市、所沢市、狭山市を中心とする狭山丘陵地域ですが、その他、秩父地方および児玉町を含んだ中山間地域でも産地化が進められています。
また、県東部、県南部の都市地域においても茶の栽培が行われています。
平成29年産の埼玉県のお茶の栽培面積は871ヘクタールで全国第8位に位置しています。
荒茶生産量は698トンで全国第12位となっています。これは、埼玉県が他の茶産地に比べて寒い場所にあるため、年2回しかお茶を摘まないことによるものです。
日本で茶の木が育てられるようになったのは、今から800年ぐらい前のことです。中国へ行っていたお坊さんが、茶の木の種を持ちかえり畑に蒔いたのが、その始まりと言われています。
それからしばらく時がたって、今の川越(「河越」)に茶の木を植えたのが、もとになったと言われています。これが今の「狭山茶」の始まりです。
埼玉県で今のように盛んにお茶の栽培が行われるようになったのは江戸時代の中頃からで、地域の特産物として栽培が普及し、産地も拡大していきました。
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